今回は、近年増加傾向にある「職場での転倒災害」について取り上げます。前編として、発生状況や背景にあるリスク要因を整理しました。
増加する職場での転倒事故
東京労働局の調査によると、休業4日以上を伴う労働災害の約3割は「転倒」によるものでした。職場に潜む危険は機械や高所作業だけではなく、日常のちょっとした行動の中にも潜んでいることが分かります。
加齢と身体機能の低下
人は30歳を過ぎると、筋肉量が毎年約1%ずつ減少していきます。40歳代からは筋力の低下、バランス感覚の衰え、視力の変化などが重なり、転倒リスクが高まります。「まだ大丈夫」と感じていても、身体は想像以上に変化しているのです。
注目される「フレイル」
フレイルとは、加齢により心身の機能が低下し、外部の変化に対応しにくくなる状態を指します。進行は早く、自覚がないままリスクが高まるケースも多くあります。職場の安全を守るためにも、早期の気づきと対策が重要です。
まとめ
転倒災害は「特別な事故」ではなく、誰にでも起こり得る身近な労働災害です。加齢による心身の変化を理解し、職場全体で早めの予防や気づきを共有することが、安全確保の第一歩となります。次回の後編では、実際に取り組める転倒防止策をご紹介します。