今年の年末調整では、所得税の基礎控除の見直しや「特定親族特別控除」の創設など、税制改正に基づく変更がいくつか施行されます。このため、従業員には早めに変更内容を伝え、新しい申告書の提出を呼びかけることで、年末調整を円滑に進めることができます。また、これに伴い使用する申告書等の様式も改定されています。6月30日に国税庁より新しい様式が公表されており、源泉徴収票についても「令和7年12月以前から使用して差し支えない」とされています。
「特定親族特別控除」の創設と「年収の壁」対策
今回新設された「特定親族特別控除」は、就業調整が行われる要因となる「年収の壁」対策として設けられました。これにより、一定の親族を扶養にしている場合に追加で控除が認められる仕組みが導入されます。一方で、健康保険制度においても「年収の壁」対策が進行中です。現状では、健康保険の被扶養認定の年収要件は「130万円未満」とされていますが、令和7年10月1日からは、被保険者の配偶者を除く19歳以上23歳未満の対象者について「150万円未満」へと見直す案が示されており、パブリック・コメントも実施されました。
被扶養者資格調査にも注意
上記の見直しにより、今秋に実施予定の「被扶養者資格調査」において、新たに認定される対象者が出てくる可能性があります。これにより、健康保険の手続きにも影響が出る可能性があるため、変更内容の把握と社内体制の整備が重要です。
まとめ
令和7年度の税制改正と、それに伴う年末調整・健康保険の変更は、従業員の手続きにも大きく関わる重要なポイントです。特定親族特別控除の導入や健康保険の被扶養認定要件の見直しにより、「年収の壁」への対策が進む一方で、実務担当者には早めの情報共有と準備が求められます。新様式の確認や周知のスケジュールを早めに立て、スムーズな対応を図りましょう。